有限の熱容量を持つ温度 TH の高熱源から熱量 QH を受け取り、システムが仕事 W を外部に成して、温度 TL の低熱源である環境に熱量 QL を排熱することを考えよう。環境である低熱源の温度は QL が流れ込んでも温度の変化はないものとする。高熱源Sの質量と比熱をm, cs と書くことにする。また、カルノーサイクルの熱効率をηcと書く。カルノーサイクルによって高熱源から熱量を受け取り、環境へ排熱するときの微小仕事 δW は次のように表される。
高熱源 S から熱量 δQ が取り出されると、熱源の温度は dT 減少する。その関係を次のように表す。
これを上式に代入すると、
これを TH から TL まで積分することによって高温源から取り出せる仕事を求められる。すなわち、
右辺第一項はTHとTL の温度範囲において有限の高熱源から放出される全熱量を表し、右辺第二項は全熱量のうち仕事に使えなかった部分を表す。したがって、高温源 S が無限の熱容量ではなく有限であることによって、熱量が取り出されると温度が変化し、その結果、カルノーサイクルと言えども熱源の熱量を全部仕事に使えないことになる。この有限の熱源から取り出せる仕事 W をエクセルギー E と呼び、使えない部分をアネルギーと呼ぶ。