パドルによって水を押し、水から戻される反力が推進力となる。これはスケボーに乗って、後ろの壁もしくは斜め後方に地面を足で蹴るのと同じである。蹴るという動作が作用力で壁や地面からその反作用力で前に進む推力を得るのである。足の代わりにパドルを使ったと思えば良い。つまり、パドルで水を押す(蹴る)と水から反作用力で推力を得る。
パドルで水を押すとはどういうことか?通常、静水中で物体が移動すると抗力がかかる。物体を移動させるのにその物体が水を押すと反作用で抗力を水から受ける。つまり人がパドルを使ってある力で水を押すともし損失なく100%その力と同じ大きさの反作用力が水から受けるとすれば船の推進力=人が出した力となるであろうが、パドルの抗力係数が小さいとすると、極端な設定をすると0であれば、水からの抗力は0であるから、パドルは水の中をスルリと抵抗を受けることなく動くだけとなる。つまりパドルは抵抗係数の大きな形状であることが重要である。
流体工学で扱う大抵の問題では抵抗係数を小さくして物体にかかる抵抗を下げる努力をしているが、抗力を使う立場に立ってみると、全く設計思想が異なるのである。抵抗の大きな形状とはどのような形なのであろう?興味は尽きない。