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流れの種類

流れるとういう現象は一つである。したがって、流れを記述する方程式は1つである。ところが、教科書を見ると色々な流れについて書かれているので、それらの流れを理解しないといけないのか?となって、習う前から流体は苦手という意識が芽生える。しかも、高校までの物理には流れを扱う物理学は出てこないので、なおさらである。しかも、「流体力学」に至っては見たこともなかった記号で書かれた数学(と思われる)式が出てきて、先生達は「君らこの記号の意味や使い方当然知っているよね」と質問を許さない雰囲気で、黒板にカチャカチャ音を立てて式の導出や展開を行なっていく。それを一生懸命書き写していくうちに記号だか数字だかわからなくなってもひたすら書き写していた。それらの式や記号からは当然のことながら流体の流れるイメージはつかめなかった。今の先生達はなんとか皆に理解してもらおう、流体を好きになってもらおうというサービス心があるので、具体的流れのイメージから入るために、とっつきやすくはなっている。それでも先に書いたように、多くの種類の流れが出てきて、それらがあたかも独立しているかの如く並んでいる。

身近にある流れを記述する流体の運動方程式はナビエ・ストークス方程式である。したがって、流れを分類する必要はないのだが、厄介なことに解けないのである。とは言え、100年以上にわたって流体学者(ほとんどは数学者)達は解けるよう努力してきたのである。いろいろな仮定や境界条件を与え式を簡略化し、数学的手法を駆使して、なんとか答えを見出したものの一つに、円管内の流れがある。だからどの教科書もこの流れを式の展開と共に載せるのである。ほら!こんなに綺麗に解けるだろう!と言わんばかりに、式の展開に力点が置かれるので、なんのために答えを見出したのかがぼやけてしまうために、工学を学ぶ者にとっては、有り難さがよくわからなくなってしまうのである。境界条件(どういう状況で流れているか周りとの関係を表す)の違いによって流れをいくつかに分類しているので多くの流れがあるように見えるだけである。

教科書を見て、恐れることはない。教科書に載っているのは幸い解けた流れだけなのである。工学を行う者にとって必要な流れの情報は流れと物体壁面との干渉、すなわち摩擦である。これが見積もれれば、流れを流すための動力の見積りができる。その観点で教科書から読みとれるよう目を養うことである。

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