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ストローでジュースを飲む

吸えば飲めるじゃないか!その通りだが、この「吸う」ということを考えてみよう。吸うというのは口の中を窄めて空気を無くしいわば真空状態にすることでジュースはストローの中を通って口の中に入ってくる。ストローのもう一方の端は当然ジュースの中にある。ジュースの水面は大気に接している。その水面から一本の流線をストローの中に通して口の中にまで引く。その流線上でベルヌーイの式をたてる。簡単のために水面位置と口の位置の違い(高低差)を無視し、また、水面が下がる速度を無視すると、口の中のストローの端から流れ出るジュースの速度 u は次の様に表される。

u = {2(pa-ps)/ ρ}1/2

ここに、pa 、ps はそれぞれ大気圧と口の中の圧力を表す。つまり口の中の圧力を下げて大気圧との差を作ると流れるということがわかる。大袈裟に言えば、これが吸うメカニズムである。

先ほど無視した水面と口の高低差を水面から測った高さ h であらわすと、速度 u は、

u = {2(pa-ps)/ ρ-2gh}1/2

と書ける。もし口の中を真空( pa =0)にしたとすると、ジュースがはいってくる限界の高さhm は、u=0 とおくと、hm= pa/ ρg である。pa=1013hPaだとすると、hm は10 mとなる。つまり10mの高さからジュースを吸い上げるのが限界である。実際には真空にすることができないので、人間が頑張っても7 m くらいが限界である(実際にやってみた結果)。

「吸う」という行為で揚げられる理論揚程は1気圧の大気中では10 mが限界である。

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