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ジェットエンジン、発電プラントの原動機(ブライトンサイクル)

開いた系における仕事の取り出しである。流入する空気を圧縮機で圧縮し、その圧縮空気に燃料を混合し燃焼させ、高エネルギーとなった燃焼ガスでタービンを回して動力を得るシステムである。本来開いた系であるので、外界である大気から大気を取り込み、大気圧一定として大気に排熱、排気する。大気を通じてサイクルとして閉じたものとして扱うのがブライトンサイクルである。

作動流体の力学的エネルギー(運動エネルギー、押し込み仕事、位置エネルギー)を無視できるとする。システムの各構成要素における作動流体のエネルギーの変化を見てみよう。1)作動流体が圧縮機に流入する前に持っていたエネルギーは比エンタルピーh1である。これが圧縮機に流入し可逆断熱圧縮(等エントロピー)WCを受け、作動流体のエネルギーはh2になる。2)h2のエネルギーを持って燃焼器に入り、熱量 QH を受け取り、h3になる。3)h3のエネルギーでタービンを回し可逆断熱膨張(等エントロピー)して仕事 WT をし、残りのエネルギーはh4となる。作動流体の質量流量を比エンタルピーにかけて動力[ W:ワット]に変えて表示すると、

と書ける。タービンは圧縮機をまわすために、なされた仕事の一部を圧縮機の仕事に当てる。これらのことから、この開放システムで行う仕事 W は次のように表される。

ブレイトンサイクルの p-v 線図

ブレイトンサイクルの熱効率 η は圧力比γ=(p2/p1)=(p3/p4)を使って、次のように表される。

圧縮機で圧力を高めれば高めるほど効率は高くなり、排気の大気圧が低ければ低いほど効率は高くなることがわかる。したがって、航空機の場合には気圧の低い上空を飛ぶときの方が効率は上がる。

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