流れを観察する(数学的取り扱いのできる)方法は2つある。一つは流れの一部にマーカーを付けて、これをシステムと呼び、その運動をシステムの動きと同調して動きながら観察する方法、これをラグランジュ的観察と呼ぶ。もう一つは、固定した位置にある窓を通して観察し、そこを出入りする変化を調べる方法、これをオイラー的観察と呼ぶ。
ラグランジュ的観察では空に浮かんだ一塊の雲がどのように流れていくのかな?と観ているやり方である。これはあたかも投げられたボールを観て、放物運動しているなと理解するやり方と同じであるから、運動と力の関係を求めるニュートン運動力学で表現できる。一つの着目するものだけを見つめてその変化を観察し、それから全体的なことを想像するやり方である。
これに対してオイラー的観察は、固定されたところで観察するのであるから、運動そのものを観察するわけではない。窓に出入りする量の時間的変化を観ることになる。これはあたかも季節の移ろいを部屋の中から窓を通じて観ていることと同じである。また、今月の家計簿の収入と支出の差がどうなっているのか?とみているようなものである。したがって、数学的には窓に対する出入りの差の時間変化だけで表すことになる。細かなことより総合的にどうなっているのかという見方である。