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闇を懐かしむ

今の世の中どこもかしこも明るく照らされ、闇が無い。そのため妖怪も魑魅魍魎も出てこない。電気のなかったころはろうそくやランプの光だったので、その周辺だけは明るいのだけれど、背景は闇が広がっていた。家の中でも昼間見えていたものも闇の中に消え、その闇には何か得体のしれないものがいるような気がしたものだ。闇には想像を掻き立てる力がある。

友人が先日、旧大須賀町横須賀(現掛川市横須賀)の三熊野神社の3年ぶりの大祭を見てきたと写真を送ってきてくれた。その中に鳥居前の並ぶ露店に挟まれた狭い通路に多くの人がいる写真があった。

お祭りの時の露店での射的、ヨーヨー釣り、金魚すくい、型抜きなど記憶がよみがえった。その記憶は白熱球に照らされた例えば金魚の入った四角い生簀を挟んで露店のあんちゃんと自分だけの世界である。背景は闇である。別次元の世界がそこに広がり、金魚すくいに没頭でき、現実離れしていた。だから楽しかった。印象に残った。

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