最近集中豪雨による水害が起こっている。玄関ドアの外側に水が溜まると幅 a =80cmのドアにかかる力がどのくらいか見積もってみよう。水深 h と静水圧 pw の関係は pw =ρgh であるから、いわゆる水圧は深さに比例して増加する。ここで、ρは水の密度(1000 kg/m3)である。いま、50 cm の深さまで水が来たとすると、水面(h=0)では水圧は0[Pa] であるが、底(h=0.5 m) では水圧は pw =1000×9.8×0.5=4900 [Pa] で底に向かって直線的に増加する。したがって、ドアにかかる力を求めるには水面から底に向かって水圧を積分することになる。さいわい、直線的なので三角形の面積を求めることと同じであるから、簡単に水圧による力 F は
と書ける。ここでAは水没しているドアの面積を表すので、幅×水深、つまりA=ahである。面積の前にかかっているρg(h/2)は水深の半分の位置 (h/2) における水圧を表しているので、結局水深の半分の位置における水圧が平均水圧を表すことを意味している。では、実際に50cm 水没したドアにかかる力を求めてみよう。
キロ表示で重さ換算してみると、これを9.8 m/s2 で割ればよいので、980/9.8 = 100 [kg] と求められる。なんと、ひざ下くらいの水深の水圧で力に換算すると100キロもの重さで押されているのである。ドアを開けられるだろうか?