壁面に沿う流れにおいて壁面との摩擦によって壁面近くの流速が遅くなり壁面上では0となってしまう。壁面から離れた所では主流の速度Uである。この速度が遅くなる層の流れを境界層流れと呼んでいる。この境界層の厚さδは壁面上の0から速度が0.99Uとなるまでの壁面からの高さで与えられる。例えば新幹線の上に形成される境界層厚さは先端では0であるが400m後方では1m程となる。この厚さは薄いが摩擦による速度の減速となるのであるから摩擦抵抗となる。摩擦抵抗は壁面上の速度勾配に比例する。したがって、境界層内の速度分布を知ることが摩擦抵抗を見積もる際に重要となる。新幹線の例では先端は境界層流れは層流であるが、すぐに乱流へと遷移し、乱流境界層となる。
層流境界層の速度分布はブラジウス速度分布と呼ばれるものである。乱流境界層速度分布は実用的には1/7乗則速度分布形状である。壁面上の速度勾配は乱流のものの方が大きい上に、乱れに起因する摩擦も大きいために、乱流境界層の方が摩擦損失は大きい。
この摩擦抵抗を下げるための方法として、速度勾配を層流速度分布に近づける方法(再層流化)、乱れを整えるもしくは抑える方法が採られる。